幸福になるために

趣味なし、特技なし、貯金なし、彼氏なしの底辺女がどうにか幸福になろうとするブログ

幸福になるために、スーツを買いに行ってみた。

ひどく落ち込んでしまった。

今度、会社で株主総会があり、会場サポートという形で参加することになった。

会場の近くで参加される株主様をご案内するという役割である。

入社5年目にして、初めての仕事なので不安を感じつつ、業務説明会へ行った。

そこで言い渡されたのが、「全員スーツ着用」。

まぁ、そうだろうなとは思っていた。

会社のちゃんとした式典や行事はスーツ着用が普通だし、今までもそういう機会に

参加することもあった。

しかし、株主総会というものは会社の行事の中で最も重い行事らしく

(入社式より上)着用するスーツについても条件がいろいろとあった。

まず、男女ともに色は黒。

アクセサリー禁止。

女性はヒールのパンプス着用…などなど。

去年までの自分なら受け入れられたかもしれないが、その条件がなぜか胸に刺さった。

今、私は会社でLGBTの活躍を推進する仕事をしている。

もし自分が当事者だったら…そういう風に考えながら仕事をする機会も

今年に入ってからかなり多くなっていた。

そのタイミングでこれ。

 

元々、男性っぽい服装が好きで「男か!」と突っ込まれるような見た目をしていた。

それが去年まで、いろんな事情で「女のコスプレか」っていうくらい女性らしい恰好をしていて、それがしんどくなって今年からまた「男か」という服装に戻っていた。

私はもともとスーツについては疑問を持っていて、いくらスタイルをよく見せるためとはいえ、あの無駄に胸やくびれ、お尻を強調したデザインはいかがなものかと思っていた。

女性らしい体のラインがはっきりくっきり浮き出るシルエットが大嫌いだった。

あんなもん、国を挙げての大セクハラだろ、と。

(もともと海外のものだけど…)

まぁそのスーツのデザインはそういうのが好きな人もいるしいいけど、

でもだったらわざわざそれを「仕事の標準服」にする必要はどこにあるのだろう。

ある程度アピアランスを定めた中で、選択できるようにすればいいのではないか。

…とまぁ、そんなこんなで出来るだけ「ちゃんとしたスーツ」を着ないようにしてきた私。

LGBT当事者でないとはいえ、この一件で自分はすごく傷ついたのを感じた。

そして思う。

LGBT当事者の方たちは、日常の中でこんな風に小さく傷つきながら生きているんだ。

そう思うと胸が苦しくなって、悲しくなって、仕事中にも関わらず泣きたくなった。

 

しかし仕事は仕事。

自分が持ってる黒のスーツは4年前に着ていたリクルート用のものしかなくて、さすがに体形が変わってしまっているのでもう着られなくなっていた。

ので、今日スーツを買いに行った。

(靴は黒の革靴でなんとか勘弁してもらった)

どうしても「レディース用のスーツを着たくない」という思いがあったのでLGBT スーツ」で検索した。

そしたら、「LGBTのスーツ探しにはここがおすすめ!」という記事を見つけて、生まれて初めて某スーツ屋さんにスーツを買いに行った。

すぐに店員のお姉さんが声をかけてくれて「黒の無地を探しています」と伝えるとレディースの黒の無地のスーツコーナーに案内してくれた。

今日の私の服装はというと、社外セミナーに参加していたためにネイビーのセットアップに白のシャツ、ローファー。

セットアップはスラックスを1サイズ大きめに買ったので、体のラインはまるで出ないものだし、デザインも少し男性より。

自分的には「男性に間違えられるかも?」くらいのつもりの見た目だと思ってたけど、あっさり女であることを見破られてしまう。

(化粧もしてるし体格も完全な女なので仕方ない)

探しているスーツの条件は「黒の無地」で「できるだけ体のラインがでない」「でもちゃんとカッチリして見える」もの。

しかしそんな代物はまずない。

女性用のスーツは、ちゃんと女性の体のラインが美しく見えるように作られているのだ。

そこで、勇気を出して聞いてみた。

せっかくLGBTの方が「LGBTがスーツを買いに行くならここ!」と太鼓判を押してくれた店に来てるのだから。

「メンズスーツの一番小さいサイズってどのくらいですか?」と。

店員さんの反応は素晴らしかった。

ごくごく普通に「これのMありますか?」って聞かれたくらいのテンションで返してくれた。

これが、LGBTがスーツを買いに行くならここ!と太鼓判を押される由縁かと。

ただ、残念ながらメンズの一番小さいサイズのスーツでも自分には大きすぎて

相当な不格好だった。

ま、こればっかりは仕方ない。

試着した女性もののスーツの中で、比較的「変にクロップド丈じゃない」「裾がフレアになってない」「できるだけストレート」なものを買うことにした。

それでも、やはりお尻や股間周りは形がくっきり出るし、3万円払ってとても悲しい気持ちで店を後にした。

帰路の途中、某ファストファッションのお店に寄ったら、黒無地のセットアップが売っていた。

試着したら、まさに理想的な体のラインの出なさ。

うれしさのあまり笑ってしまった。

もちろん、ファストファッションの安いスーツなので形はよくないし男性的なかっこいいデザインでもないけど、さっきのスーツよりは全然いい。

サイズがなくて今回は買わなかったが、明日別の店舗にいって同じものを買ってこようと思う。

3万で買った女性もののスーツは3万でフリマアプリに出して、株主総会にはちゃんと自分が恥ずかしくない、傷つかなくていい服装で参加できそうだ。

 

長々と書いたけど、なぜ会社の大事な行事だからと言って女が体のラインを強調しないといけないのかわからないし、わざわざ男女で着るものやはくものをきっちり分けないといけない意味も分からない。

そんな前時代的な考え方は、早く捨て去ってほしいなと思う。

あと、LGBTでもないのに女が男物のスーツ着たいとかはワガママ、みたいなことも言われる。

これは、正直自分でもどう受け止めていいかわからない。

「自分らしくありたい」と思うことは「常識を外れたワガママ」なんだろうか。

スーツを着ることも、正装でお客様を迎えることも、それが嫌だと言ってるんじゃない。

仕事は仕事として、きっちりやりたいと思ってる…

でもやはり胸や尻を強調させた服を着て仕事をするのは嫌だ…

私がLGBTなら、「性自認が男性なので」と言えば「配慮されるべき」となるだろうが、私の場合は「ワガママ」になるのだ。

でもそれを「おかしいでしょ!」と言い切る自信もない。

自分は性自認も体も女だし、性の対象は男だし、まったくLGBTじゃない。

なんなら去年は普通にタイトスカートも履いてた。

でも今年は嫌。

それがワガママじゃないとは自分でも言い切れない。

 

LGBTに該当しなくても、ストレートでも、そういった悩みがあるということを誰かが理解してくれたらうれしいと思う。

性別なんて、気分によって着替えられるものだと、自分はそんな風に認識している。

誰かがこれに共感してくれたら…そんなことを思って書き記した。

 

いつか、ストレートの女性でも、メンズスーツにネクタイを締めて、でも口紅は引いて、それが正装だと認められる世の中になってほしいと思う。

 

とりあえず幸せになるために、明日は某ファストファッションのお店に行ってみようと思う。